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「台風一過」

  • fcsakai2
  • 1 hour ago
  • 2 min read

6月、台風の日に仕事に向かうため電車に乗っていた。遅延のため通勤ラッシュがいつもと比較にならないほど混み合ったが、何とか無理に乗った。誰かのカバンが私の右腰に食い込み体が曲がった状態になったが、身動き一つとれなかった。超満員の電車が駅に停車するたびに、ホームで待っていた人達は乗車をあきらめた。

やがてある駅に着き、若い男性の怒声が聞こえてきた。どうやら乗車できず怒っている様子。「どう見ても無理やん」と電車の中からやんわりと応答した中年男性がいた。そこからヒートアップして乗客全員を罵倒、怒鳴りだした。発車待ちのためドアはフルオープン。すぐ近くで「降りろ」と叫ばれるのは苦痛で、長い時間に感じた。誰かが引きずりだされるかもと思った。乗客のイライラが高まる中、ある男性が怒っている男性に声をかけた。「ちょっと落ち着こう」でも、おさまらない。もう一度言う。おさまらない。「次の電車すぐ来るから。大丈夫」何回か繰り返す。少し怒声がトーンダウンした。

そしてドアは閉まり無事発車した。ホッとして思った。あの男性は相手に対して1回ではだめでも何回も声をかけ続けた。不安だった乗客もその人の言葉で落ち着けたように思う。少なくとも私はそうだったからありがたかった。

下車すると大雨警報レベル4になった。台風が勢いを増してきたのだろう。しかしそれとはうらはらに、私の心中は台風一過のような気分だった。             

 <mii>


  

 
 
 

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