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虐待と発達障害の関係

兵庫県こころのケアーセンター発行の《R2年度事業報告書》で、毎原敏郎氏(兵庫県立尼崎総合医療センター小児科科長)による講演資料に、虐待と発達障害の関係についての記載がありました。

虐待と発達障害の関係についての議論は1990年代前半から続いており、当初の考え方は発達障害は先天的なもので、虐待は後天的なものなので全く別物として考えるべきとされていましたが、1990年代後半から、発達障害があると虐待を生み出しやすいという考えが出始め、2000年代には虐待が発達障害を生むという考えも出てきました。つまり非虐待体験が発達障害のような症状を呈する原因になるという考えです。

発達障害の代表的なものとして、注意欠如・多動症(ADHD)や、自閉スペクトラム症(ASD)があります。

ADHDの特徴は、ケアレスミスが多い、忘れっぽいなどの不注意、集中できない、そわそわしたり、じっとしていられないなどの多動性、出し抜けに行動するといった衝動性があります。

またASDの特徴は、相手の気持ちを考えない、コミュニケーションが苦手、こだわりや興味の対象に偏りがある、感覚の障害などがあります。

一方、虐待されているかどうかを判断する言動として         *文科省研修教材「虐待防止と学校」

1.大人との安定した信頼関係を築くことができない。極端に甘えると思うと、急にキレる。

2.家で受けた虐待をほかの子どもにしてしまう。

3.衝動性やコントロールが難しい。

4.学習の遅れがある。

5.食や物に異常にこだわる。異常に給食を食べたり、特定の物を集める。

6.侵入的・攻撃的な行動を繰り返す。物を壊したり、放火したりする。

以上のように、発達障害と非虐待児の行動がよく似ているので、発達障害か虐待の影響かを見極めるのは専門家でも難しく、現在では、一旦、全体を受け入れて、その子どもの問題を個別に理解して対応するという考え方に

なっているそうです。

どちらにしても発達障害も虐待も、同じような生きづらさを抱えることが多いということは明らかです。

何が問題であるかを理解するために、発達障害の影響なのか、虐待の影響なのか、また両者が複雑に絡み合っている場合も勿論あると思います。

虐待による脳への影響を研究されている友田明美氏は、マルトリートメント(いわゆる虐待のこと)という言葉を略してマルトリと呼んでみたらどうかと提案されているそうです。例えば、セクシュアルハラスメントがセクハラとなり、一般的に知られることとなりました。マルトリは意識的に子どもを傷つける行為をしているわけでなくても子どもの安心安全を考慮しない行為全てを含んでいます。子どもが安心して過ごせる環境になっているかどうかをみんなが意識すること、そのためにマルトリがもっと知られるといいなと思います。

                                    (みんと) 


 

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