2021年12月22日、イギリスの製薬会社「ラインファーマ」は厚生労働省に中絶ピルの承認を申請しました。
承認されれば、日本初の中絶ピルの誕生です。
世界ではすでに2000年頃から中絶ピルは合法化されはじめ、現在では約30カ国で公的な保険や補助により実質無料で提供され、オンライン処方が可能な国もあります。国際産科婦人科連合は、中絶ピルの有効性と安全性を確認し「各国全ての女性がプライバシーを守られ安全に中絶できるこの方法を恒久化すべき」という見解を出しています。
一方で日本での現状にはいくつかの憂慮すべき問題があります。まず女性が中絶を望んでいてもパートナーの承諾が必要で、自分の身体のことを自分で決めることができません。国連の人権規約には、『必要とするすべての人が安全な中絶の情報と手段を得られること(社会権)と中絶を自分で選択できること(自由権)は基本的な人権である』と明記されており、海外では、望まない妊娠の継続を強制することは拷問であり人権侵害だとみなされています。現在、中絶に配偶者同意が必要な国は日本を含めて11ヵ国のみとなっています。
また、日本での中絶手術の3分の2は掻把法または掻把法と吸引法併用となっています。しかしWHOは、搔爬は吸引よりも女性にとって痛みを伴う外科的中絶方法であると指摘しており、2012年のガイドライン『安全な中絶 第2版』では、中絶薬か吸引法に置き換えるよう指導しています。
そして中絶費用が世界に比べて高額なことや医療保険の適用外であることも問題です。日本での中絶費用は妊娠初期でも少なくとも十数万円かかると言われています。一方で中絶ピルの原価は世界平均780円とされており、経済的負担をかなり抑えることができます。
気になる安全性については、製薬会社の治験結果では、参加者の59.2%(120名中71名)に腹痛や嘔吐などの副作用と疑われる症状が見られたとのことです。しかし、症状はいずれも重度でなく、薬の副作用と判断されたのは45名で、参加者1名は発熱や出血による貧血などの重度な副作用が現れたとのことでした。以上の結果から有効性や安全性は認められるとして承認申請がなされています。順調に進めば中絶ピルは1年後くらいに承認されるそうですが、反対意見や慎重意見も沢山聞かれますし、先行きは不透明なままです。女性の権利という点からしてもぜひともこの中絶ピルが承認されることを願っています。
Change.orgで署名活動が行われていますのでのぞいてみてください!! (みんと)
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