22日 第七藝術劇所に映画を見に行った。
タイトルは「どうすればよかったか?」
この映画は、社会的地位の高い医学研究者を両親に持つ「娘」が統合失調症を発症し、
25年間、幻聴や妄想に苦しみつつも、本人も家族も「病気」に目を向けることなく日々をかさねた記録映画である。
医学研究者の親は医師でもある。病気のことはわかっていたはずだが、
頑なに「統合失調症」を認めず、精神科の受診を拒み続けた。
弟だけが唯一「お姉ちゃんは統合失調症だ」と思い、何度も親に受診を勧める。
しかし、両親の協力がないなか、弟にはどうすることもできなかった。
ただ、記録のビデオを撮り続けた。
記録ビデオの中の両親は、姉にとても寛容で優しい。
奇妙な行動にも、叫び続けることにも、穏やかに接していた。ただただ宥め、見守っている。
いつしか玄関には南京錠がかかり、姉は外で出られなくなった。世間の目を遠ざけた。
そして、長い年月が過ぎ、母親が認知症になった。
妻と娘の世話をすることが困難になった父は、ようやく、姉が精神科に受診することを承諾した。発症からなんと25年、姉は初めて治療を受けた。
3ヶ月入院し、安定した状態で退院した。
薬が効いているからだろうが、ふつうに生活が出来ている。外出もするし、普通に会話もできている。専門医の治療を受ければ、こんなに早く良くなるのに。
なぜ、両親は25年間も受診を拒み続けたのだろうか。
なぜ、病気を認めなかったのだろうか。
社会的地位が、両親を頑なにさせたのだろうか。
世の中の統合失調症に対する偏見が、そうさせたのだろうか。
25年の日々は戻ってこない。
もやもやとしたものが心に残った。 ☆彡
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