体操のシモーネ・バイルズ選手が心の健康を優先する必要があるとオリンピックの決勝を棄権した。
そのニュースを聞いて、私はとてもほっとしました。
詳しい事情は何も知らない。でも、ただ、もうできないと判断して棄権した勇気に感動し、そして感謝もした。
1964年の東京オリンピック。私は、アベベの横顔にしびれ、チャスラフスカの美しさに感動し、遠藤の人間業と思えない完璧な演技に感嘆していた。
そして、オリンピックも終わり、ほとんど思い出しもしなくなっていた頃に報じられたのが、円谷幸吉の自死。
「幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません」
「そんなことで、死なないでよ!」と高校生の私は叫びたかった。
無理なら無理と言ってよ・・・
42.195キロを走りぬくなんて、人並みはずれた強靭な精神力の持ち主だと思っていた・・・「走れません」は遺書でしか言えなかったのか・・・
公開された遺書、その「美味しゅうございました」が繰り返された文面が、心に突き刺さり、痛ましく辛かった。
自衛隊やめて田舎へ帰ることはできなかったのだ。
自分の心を押し殺し、最後は命までかけて、優先しなければいけないものがあるとは思えない。
「そんなわけにはいかない」と思わせてはいけないよね。
「そうしてもいいんだ」を思える世の中じゃなくては。
何かができなくては存在する値打ちがないなんて思ってしまう世の中はおかしい。
円谷選手はあの高度成長が始まったころの時代の犠牲者でもあるのだろう。
あれから57年
バイルズ選手は棄権し、「私は自分が実績と体操競技以上の存在だと認識した」とツイートしています。
本当によかった。
バイルズ選手24歳! 全仏を心の問題で棄権した大坂なおみ23歳!
若い女性の勇気が、世の中を変える‼ (K)

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