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「ツバメ」事件で思うこと

わたしが懇意にしている店の入り口の上に毎年ツバメが巣をつくる。


今年もやってきて今は子育ての真っ最中だという。店のスタッフに聞くと、まずは2羽のツバメが木端やら雑多なものをくわえて運んできては器用に見事な巣を作る。巣が完成すると卵を産んであたためているのは妻ツバメだけなのか、夫ツバメは交替してやっているのかはわからないらしい。いずれにしてもあたためていないほうが忙しく飛びまわって餌を運んでくるという。卵から雛がかえると、ピーピー鳴く子に与える餌探しにせっせと励んでいるようだ。その姿を見ると「わたしも頑張ろうと思うのよ」とスタッフの一人が言っていた。子どもが少し大きくなるとお尻を巣の外に出して糞をするという。巣を汚さないのはいい心がけだけど店の入り口の掃除がふえるけどねと面白そうに笑っている。


巣立ちは突然で空っぽの巣だけが残されるのは毎年のことだ。昨年も皆で何か寂しいなぁと言いつつ空の巣を片付けようとしたら、ツバメより一回り大きな鳥が居座っていたので驚いたという。手頃な空き巣を見つけて住むことにしたらしい。ツバメと違いこの鳥は全くのぐーたらで巣が傷んできて穴があいても意に介さず修理する気配は微塵もなく全壊寸前で立ち去ったという。きっとまた空いている巣に潜り込んでるわというのがスタッフ一同の気持ちだったらしい。


スタッフ間でツバメのように真面目に律儀に生きるのがいいのか、労せずちゃっかり気ままに暮らすのがいいのかとワイワイと盛り上がったけど、ちゃっかり型で生きるのは無理ということになったという。


この話を聞いてイソップ寓話の「アリとキリギリス」を思い出した。来る冬の食料の備蓄のため春も夏も秋も働き続けるアリ。働かず生きることを謳歌していたキリギリスは冬には食べる物がなく困ったあげく死んでしまう。だからキリギリスの真似をしてはダメ、アリのように生きるのよと言われ続けてきた気がする。何も楽しまず働き続けることだけが正しい生き方とも思えないけどね。                (ア)





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